「遅い成長」「枯れ下がり」「枯れ」の調査 (1)

【植栽方法の不備による枯れ下がり】

所有者様の情報は伏せます。
大きな山林所有者でいらっしゃり、近年伐採をはじめ、再造林を地元の業者に委託しておられます。当初、シカの対策としてネットを周囲に張っておられましたが、食害防止が徹底せず、当社製ツリーシェルターを今では採用いただいています。

現場に枯れが見られる場所、枯れ下がりが見られる場所があり、かつ、下草が優先してきているように思われるなど、スギ苗の生育不良の原因を把握したいとの申し出があり、今回一緒に現場を確認させていただくことになりました。

森林総研からは、「夏の暑さで蒸散が激しく、結果、感想により枯れたのではないか」と聞かされたとのこと。
不安に思われるのも仕方がないところだと思う。

ただ、森林総研が枯れの原因を調査したわけではなく、相も変わらない「稚拙なイメージ」による推測を述べるとは、少々残念な思いもします。

幸いなことに、所有者さまは、このような推測に惑わされることはなく、ただ何が起こっているのか正しく理解し、今後の再造林にこの経験を活かしたいとの言葉をいただきました。

【事例1:根がトリアシ状に・・・元の根は全く機能せず】

まず、4年経過したと言う現場を見ました。
大きくなっている場所はありますが、それでも樹高3m程度。
成長が明らかに遅いことがわかりました。
大きくなっていない箇所を確認すると、「生きてはいるがシェルター内に留まっている」「一旦伸びたが枯れ下がった」と言った現象が見られました。

これらのことから、根に何らかの負荷がかかっているのだろうなと容易に想像できました。そこで、いつものとおり、堀り取って確認してみました。

スギの裸苗。根がトリアシ状に押し付けて植栽されており、元の根は機能せず新しい値が出ていません。かろうじて植栽後に上部茎から二段根が出てくれたおかけで、全枯れは免れたものです。

1.押し付けて植栽されたため、根はトリアシ状になり死んだ
2.二段根が出た
3.一旦成長したものの、元の根は新しい根を出すこと無く死んでしまい、枯れ下がり、二段根で維持できる分だけ枯れずに残った。

これが結論です。一鍬植えで植栽したのでしょうが、結果的に植え穴が小さく押し付けて植栽したことから、スギの生育が遅かったり、枯れ下がりなどが発生したと言えます。