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「獣害対策費は育林費の一部か?」


1.日本の森林は、林業経営を通じ維持管理されてきた

林業は日本の森林を保全してきた歴史があります。
林業不況の影響による森林の荒廃を見ても、
国策として森林を国土保全林として捉えて育成して来た
とは言えそうにありません。
(保安林制度について知らないわけではありませんが、
保安林の管理方法も林業経営の手法と違いが無いと断言するのは言いすぎでしょうか?)
拡大造林の功罪はあるにしても、
日本の森林は、林業経営を通じて維持・管理されてきたのだと言えそうです。

2.林業不況---かつて年間5億本植栽→現況2000万本植栽まで落ち込む

その林業が産業として成り立たない状況になって長期間経過してしまいました。
私どもの調べでは、年間植栽される苗木が、かつて5億本以上だったところ、
現在では多く見積もっても2000万本程度に落ち込んでいる模様です。
この植栽の落ち込みを見ても、林業不況の深刻度が見受けられます。

3.間伐推進の経済効果は?

この林業不況ですが、
なかなか有効な策を打ち出すのは難しいようです。
ここ10年以上、林野庁では間伐推進を政策の旗頭としてきました。
(勿論それだけだとは言いませんが、
間伐が政策の象徴であるのは事実です)
間伐が無駄だと言うわけでは勿論ありません。
ただ、どれだけ産業としての林業の景気を底上げできたのかは解りません。

この間伐も切り捨てが多いと言う話が多いことから考えると、
用語的には、間伐(収入が伴う)ではなく、除伐(収入が伴わない)
なのではないでしょうか。

4.産業としての林業を国をあげて保護する政策を!!

この間伐はCO2の削減に一役買っていると言う話です。
間引きして、間の木々の成長を促すことで、CO2削減に寄与すると言う話です。
このためには、間引きされた木々は、CO2を固定した形で利用されなければなりません。
利用されなければただの切捨てであり、CO2が固定されることはありません。

本来、伐期を迎えた森林は、全て伐採し新しく苗木を植える方が良いのかも知れません。
そうすれば、手入れの遅れた荒廃林の問題も無くなります。
また、新たに植えた若々しい苗木は、大気中のCOを沢山吸収し、
CO2の削減に大いに寄与します。

いずれにしても問題なのは、林業が産業として成り立たず、
木材の利用がなされないことなのです。

木材が安すぎて採算が合わないなら、国が国費を投入すれば良いのでは?
要は、国産材を保護しどんどん利用する施策の推進、
農業保護に国費を投入すると同様に、
林業振興・保護に国費を投入する施策が必要なのではないでしょうか。

5.獣害対策は天災である

シカ、カモシカの食害は大問題、
林業不況も手伝って、林業家の造林意欲を蝕んでいます。

現在の造林補助政策においては、
獣害対策は、林業家が負担すべき育林費として認識され、
一部の費用を助成することとなっています。

私どものヘキサチューブを含め、
林業家は様々な獣害防止対策から一応対策を選べることになっています。
しかし、一部助成ですので、
コスト的にそれなりの対策しか選択できない現実があります。
確実性の高い製品を選べばコスト高となり、
それだけ林業家の自己負担が増えるからです。

結果、食害にあって更新されない造林地が後を立ちません。
国土保全の観点から見て、これら不成績造林地は大きな問題であり、
獣害は対応すべき天災であると思えます。


6.育林費と獣害対策費を区別する


林業が国土保全の一旦を担ってきており、
その意味で、林業不況を打開するために、
国をあげて、林業保護政策をとるべきだと言うことは前に述べました。

現在、シカの食害が大きな問題であるのは皆が認めるところです。
今の補助政策では十分な獣害対策がとられず、
更新不可能となっている現状があります。
この状況を、林業家の善意に、林業家の負担に任せるのには限界があります。

獣害は、国土保全の観点から、解決すべき天災であることを十分に認識し、
造林補助における育林費の助成とは区別して、
国費により十分な獣害対策を行なうべきだと考えます。


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