ニホンシカの食害高

過去の文献では、シカの摂食高は120cmと言われていました。
これは、山での食害痕を丹念に調査されたうえでの結論であったようです。
しかし、あくまでも植生が保護されていないうえでのデータであり、
植栽を一定の高さ単木で物理的に保護した上でのデータではありません。
現在、ヘキサチューブを被せた現場の情報がおそらく最新の摂食高予測値となります。

これは、単に何センチで食べられたと言う問題では終わりません。
ヘキサチューブの現場を確認した際に観察した事柄である、
地形に応じた摂食位置の高低などをもとに、
ニホンシカの食害高を考えてみました。

〔傾斜の無い平坦地では160cm程度の高さまで摂食可能〕
1.平坦地でのシカの摂食高は120cm~160cm
 四足歩行のままだと120cm程度
 後ろ足で立ち上がると、160cm程度の高さまで摂食

足場が良い平地では、後ろ足で立ち上がることができるため、
160cm程度の高さまで摂食することができます。

*足元の見えにくい雑草繁茂地、又は足場の悪い傾斜地等では立ち上がらないようです。

四足歩行時、シカの摂食高は120cm程度 後ろ足で立ち上がった場合の摂食高は160cm程度


〔足元の悪い傾斜地では立ち上がらない〕
2.傾斜地での摂食高は平地より低くなる傾向

●傾斜地上部から斜面に垂直方向に立ち上がることはシカにとってもリスクがあるようで、
平地に比して摂食高は低くなっている傾向がある。
●等高線と平行に足場を取るのが、シカにとって最も安定した姿勢であるが、
この際も平地の場合の摂食高よりは低くなります

四足歩行時、シカの摂食高は120cm程度 後ろ足で立ち上がった場合の摂食高は160cm程度

〔地形により食害高(摂食高)は高くなる〕
3.傾斜地でも、切り株等地形的な妙で摂食高が高くなる時がある

傾斜地において、作業道や切り株などの影響で、摂食高が著しく高くなる場合もあります。

①作業者が通る作業道下の植栽地
②苗木の運搬、植栽等のために作られた小さな作業道
③等々・・・
最造林地などで切り株側に植栽された苗木は、
切り株の上に乗ったシカの格好の餌食となる


〔雑草等の周辺植生が植栽木の食害率(摂食率)を下げる〕
4.平坦地・傾斜地に限らず、植生の繁茂すると、シカによる摂食率そのものが低くなる

植栽木以外の植生が林地に繁茂するとシカによる植栽木の摂食率は低くなります。

①これは、シカが食べる餌の選択肢が増えるからです。

②また、植栽木以外の植生が林地に繁茂することにより、
 シカにとって足元の視界が悪くなることから、
 林地への侵入そのものを躊躇する傾向もあるようです。

③繁茂する植生に、イバラ・イチゴなどが多く混じることで、
 シカは更に進入を嫌い、そのため植栽木の摂食率は低くなります。